構コメ 骨組の塑性解析
構造コメンタール
1.8 骨組の塑性解析
重要ポイント
1.終局耐力
構造物や部材などに作用する荷重が増大して、
最終的に崩壊あるいは破損する時の荷重あるいは応力を
終局耐力という。
特に、構造物が崩壊する時の荷重を崩壊荷重という。
2.全塑性モーメント
部材に曲げモーメントが生じると
断面内には圧縮域と引張域ができる。
弾性範囲ではこれらの三角形分布と仮定するが、
塑性範囲に入り最終的に破壊する直前の全塑性状態では、
断面内で等分布になっていると仮定する。
この応力度の分布から、偶力のモーメントが求まる。
これを全塑性モーメントという。

3.塑性ヒンジ
荷重を増やして行くと、
曲げモーメント最大の箇所で部材が全塑性状態になり、
折れ曲がってピンの状態になる。
(但し、回転させるには全塑性モーメント分の抵抗がある)
これを塑性ヒンジという。(塑性ヒンジ①)
塑性ヒンジが生ずると、
その箇所の曲げモーメントはそれ以上増えず、
他の部分の曲げモーメントが増え、
次に曲げモーメントの大きかった箇所が全塑性状態になる。
(塑性ヒンジ②)
このようにして最終的に構造物が不安定になった状態を
崩壊メカニズムが形成されたという。

4.ヒンジ法による骨組の終局耐力
水平力が作用する、図-1のラーメンの崩壊構造は、
次の手順で求めることができる。
①架構が不安定になるだけの塑性ヒンジが生じた
崩壊メカニズム図を描く。(図-2)
崩壊荷重をPu、回転角をθ、変位をδとし、
δ = θ × ℓ
で求める。
②外力のなす仕事 = ΣPδ を計算する。
各荷重点での荷重と荷重方向の変位量の積
Pu × δ
を足し合わせる。
③内力のなす仕事 = ΣMθを計算する。
各塑性ヒンジでの全塑性モーメントと回転角の積(Mp×θ)
を足し合わせる。
節点の塑性ヒンジは、
全塑性モーメントの小さい方の部材に生じる。
はじめからピンの支点、節点は仕事はしないので
計算に入れない。
④仮想仕事の原理(ΣPδ = ΣMθ)よりPuを求める。

外力のなす仕事(荷重と荷重方向の変位量の積)
ΣPδ = Pu × δB = Pu × 2ℓθ = 2Puℓθ
柱・はり接合部では、
塑性ヒンジは、全塑性モーメントの小さい方に生じる。
内力のなす仕事:
各塑性ヒンジでの全塑性モーメントと回転角の積
ΣMθ = 3MP × θ + 2MP × θ + MP × 2θ
= 7MPθ
D点は、初めからピンであるので計算に入れない。
仮想仕事の原理 ΣPδ = ΣMθより
2Puℓθ = 7MPθ
∴ Pu = 7MP/2ℓ
☆構造設計 の基本理解と暗記に役立つ本
ゼロからはじめる建築の「構造」入門
1.8 骨組の塑性解析
重要ポイント
1.終局耐力
構造物や部材などに作用する荷重が増大して、
最終的に崩壊あるいは破損する時の荷重あるいは応力を
終局耐力という。
特に、構造物が崩壊する時の荷重を崩壊荷重という。
2.全塑性モーメント
部材に曲げモーメントが生じると
断面内には圧縮域と引張域ができる。
弾性範囲ではこれらの三角形分布と仮定するが、
塑性範囲に入り最終的に破壊する直前の全塑性状態では、
断面内で等分布になっていると仮定する。
この応力度の分布から、偶力のモーメントが求まる。
これを全塑性モーメントという。

3.塑性ヒンジ
荷重を増やして行くと、
曲げモーメント最大の箇所で部材が全塑性状態になり、
折れ曲がってピンの状態になる。
(但し、回転させるには全塑性モーメント分の抵抗がある)
これを塑性ヒンジという。(塑性ヒンジ①)
塑性ヒンジが生ずると、
その箇所の曲げモーメントはそれ以上増えず、
他の部分の曲げモーメントが増え、
次に曲げモーメントの大きかった箇所が全塑性状態になる。
(塑性ヒンジ②)
このようにして最終的に構造物が不安定になった状態を
崩壊メカニズムが形成されたという。

4.ヒンジ法による骨組の終局耐力
水平力が作用する、図-1のラーメンの崩壊構造は、
次の手順で求めることができる。
①架構が不安定になるだけの塑性ヒンジが生じた
崩壊メカニズム図を描く。(図-2)
崩壊荷重をPu、回転角をθ、変位をδとし、
δ = θ × ℓ
で求める。
②外力のなす仕事 = ΣPδ を計算する。
各荷重点での荷重と荷重方向の変位量の積
Pu × δ
を足し合わせる。
③内力のなす仕事 = ΣMθを計算する。
各塑性ヒンジでの全塑性モーメントと回転角の積(Mp×θ)
を足し合わせる。
節点の塑性ヒンジは、
全塑性モーメントの小さい方の部材に生じる。
はじめからピンの支点、節点は仕事はしないので
計算に入れない。
④仮想仕事の原理(ΣPδ = ΣMθ)よりPuを求める。

外力のなす仕事(荷重と荷重方向の変位量の積)
ΣPδ = Pu × δB = Pu × 2ℓθ = 2Puℓθ
柱・はり接合部では、
塑性ヒンジは、全塑性モーメントの小さい方に生じる。
内力のなす仕事:
各塑性ヒンジでの全塑性モーメントと回転角の積
ΣMθ = 3MP × θ + 2MP × θ + MP × 2θ
= 7MPθ
D点は、初めからピンであるので計算に入れない。
仮想仕事の原理 ΣPδ = ΣMθより
2Puℓθ = 7MPθ
∴ Pu = 7MP/2ℓ
☆構造設計 の基本理解と暗記に役立つ本
ゼロからはじめる建築の「構造」入門
スポンサーサイト