マンションの耐震改修
★マンションの耐震改修
近頃、頻繁に発生する地震により、
耐震計画を検討するケースも増えてきていると思います。
そこで、マンションの耐震改修について、
ポイントとなる事柄をまとめたいと思います。
1.耐震診断
耐震診断とは、地震に対する建物の強さや被害の程度
を診断することです。
日本においては、1978年の宮城県沖地震を受けて、
1981年(昭和56年)に建築基準法施行令が改正され、
建物設計の考え方が大きく変わりました。
そのため、1981年(昭和56年)より前につくられた
建物は旧耐震基準による建築物を呼ばれています。
阪神淡路大震災、東日本大震災では
多くの被害がでました。
阪神淡路大震災以降、行政のほうでも、
耐震診断及び耐震改修工事に対して
特に助成するようになっているところもあります。
耐震診断とは、耐震改修工事を行うに先立って、
耐震性を示す IS値を確認して、
耐震補強の必要性を判断、
建築物のどの部分のどういった補強を行うか?
といったことを診断するものです。
2.耐震改修工事実施の合意形成
耐震性が低い場合には、
耐震改修工事を行う必要がありますが、
マンションのケースでは、
区分所有者の合意形成が必要となってきます。
1】工事施工上の課題
耐震改修の方法によっては、
各住戸への影響が異なってくるケースがあります。
例えば、改修工事として
枠付き鉄骨ブレース補強をする場合では、
特定の住戸にブレースが入る場合があります。
たとえば、バルコニー前など….
他にも柱補強工事のため、
専有面積が狭くなるケースもあります。

さらには住みながらの工事実施が難しい
といったポイントもあります。
2】法律上の課題
大規模な耐震改修工事は、
区分所有者の3/4以上の賛成が必要となります。
さらに、工事を実施し、
自分の住戸の前にブレースが入る、
或いは専有面積が狭くなる人には、
「特別の影響を及ぼす人」として、
承諾を得る必要があります。
(区分所有法17条)
こうした決議をした際に、
工事に賛成せず、反対した者に対して、
建替え制度とは異なって、
売渡し請求ができないという
問題も生じてきます。
なお、2013年に改正された
建築物の耐震改修の促進に関する法律
(耐震改修促進法)により、
マンションで耐震改修が必要な場合には
行政へ「要耐震改修認定建築物」の認定を申請し、
認定を受けると、耐震改修工事の合意形成は
3/4以上の賛成ではなく、
過半数以上の賛成で行えることになっています。
3】経済的な課題
耐震改修のための工事費は、
戸当たり約230万円と、大規模修繕に比べて
2~3倍の費用がかかります。
(マンション管理業協会による)
耐震改修工事は費用がかかるため、
費用負担困難層の存在という経済上の課題があります。
費用を負担できない人に対しては、
住宅金融支援機構などに
リバースモーゲージという制度がありますが、
現実には条件等があり、利用が難しい状況です。
また、耐震改修工事に費用をかけても、
耐震性向上について、
市場ではあまり評価されていない
という問題もあります。
宅地建物取引業法では、
重要事項説明で耐震診断の有無と、
「有」の場合だけ情報の開示がもとめられています。
すなわち、マンションの売買時に
耐震性に関する情報開示の必要性が実質的にはない
状態であり、こうした不動産取引体制の課題も
現実問題としてあります。
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