二級建築士 平成25年度 学科 I (建築計画)解答解説②
平成25年度 学科 I (建築計画) ー2/5
[ No.6 ]
イ~ホの条件に示す室の熱損失係数の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、床面の熱損失は無視できるものとする。
条件
イ.床面積 : 20m2
ロ.屋根(天井) : 面積20m2、熱貫流率0.1W/(m2・K)
ハ.外壁(窓を除く): 面積50m2、熱貫流率0.2W/(m2・K)
ニ.窓 : 面積 4m2、熱貫流率2.0W/(m2・K)
ホ.室内外温度差1°C当たりの換気による熱損失:20.0 W /K
1.1.0 W/(m2・K)
2.1.5 W/(m2・K)
3.2.0 W/(m2・K)
4.2.5 W/(m2・K)
5.3.0 W/(m2・K)
答え
3
[ 解答解説 ]
壁体の熱損失Qは、
Q = k・S・( t1 – t0 )
k:熱貫流率
S:壁体面積
t1:室内温度
t0:外気温度
である。
屋根の単位温度当たりの熱損失
Q1 = 0.1 × 20 × 1 = 2.0 (W)
外壁の単位温度差当たりの熱損失
Q2 = 0.2 × 50 × 1 = 10.0 (W)
窓の単位温度差当たりの熱損失
Q3 = 2.0 × 4 × 1 = 8.0 (W)
換気による単位温度差当たりの熱損失
Q4 = 20.0 × 1 (W)
室の単位温度差当たりの合計熱損失
Q = Q1 + Q2 + Q3 + Q4 = 40.0 (W)
床面積 20m2であるので、
室の熱損失係数 = 40.0/20.0 = 2.0( W/(m2・K))
ゆえに、正答は3となる。
[ No.7 ]
日照・日射・採光に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.我が国において、経度及び緯度の異なる地点であっても、冬至の日と夏至の日における南中時の太陽高度の差は等しく、約 47度である。
2.窓の日射遮 係数は、その値が大きいほど日射の遮効果は小さい。
3.北緯 35度の地点において、夏至の日における南中時の太陽高度は、約 80度である。
4.全天空照度が変化しても、室内におけるある点の昼光率は変化しない。
5.天空日射量は、一般に、大気透過率が高いほど大きい。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
我が国において、冬至の日と夏至の日の南中高度の差は、どの地点であっても、地軸の傾き 23.4° の倍の約47° になる。
2.◯
日射遮蔽係数は、3mm厚の透明板ガラスの流入熱量を1とし、対象となる窓の流入熱量との比で算出する。値が大きい窓ほど、日射の遮蔽効果が小さい。
3.◯
夏至の日における北緯 35度の南中時太陽高度は、約 78度である。
4.◯
昼光率は、
昼光率 = 室内のある点の昼光による照度 / 全天空照度 × 100
で表される。天空の輝度は全天で一様でなく、薄曇りや雲量が多い晴れ時などの天空の輝度分布は、不規則で時間的変動も激しい。天空が等輝度完全拡散面であれば、室内の同一受照面での昼光率は、全天空照度にかかわらず一定の値となる。
5.×
天空日射量は、太陽光が、大気中の気体分子、塵埃、水蒸気などの微粒子によって拡散されてから地表に向かう日射である。大気透過率が低いほど、日射を拡散する物質が多くなるため、天空日射量は大きくなる。
[ No.8 ]
図に示す湿り空気線図中のA点(乾球温度 15°C、相対湿度 40%)の状態にある湿り空気及びB点(乾球温度 25°C、相対湿度 70%)の状態にある湿り空気に関する次の 記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.B点の空気を、乾球温度 14°Cまで冷却した後、乾球温度 22°Cまで加熱すると、相対湿度は約 60%になる。
2.A点の空気に含まれる水蒸気量は、同じ量の「乾球温度 20°C、湿球温度 15°C」の空気に含まれる水蒸気量より少ない。
3.B点の空気を、A点の空気の状態にするには、冷却と同時に乾燥空気1kg当たり約 10gの減湿が必要である。
4.B点の空気が表面温度 16°Cの窓ガラスに触れると、窓ガラスの表面で結露する。
5 . A 点の空気とB点の空気とを同じ量だけ混合すると、「乾球温度 20 °C 、相対湿度55%」の空気となる。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
B点の空気を冷却すると、約19℃で露点に達し、相対湿度100%の空気となり、さらに温度を下げると曲線に沿って下り乾球温度14℃まで冷却される。その空気を 22℃まで加熱すると、相対湿度は、約60%になる。
2.◯
A点の空気 1kgに含まれる水蒸気量(絶対湿度)は約 4.5g、「乾球温度 20℃、湿球温度 15℃」(C点)の乾燥空気 1kg に含まれる水蒸気量は約 9gである。
3.◯
B点の空気の絶対湿度は約 14.5g、A点の空気の絶対湿度は約4.5gである。したがって、B点の空気をA点の空気の状態にするには、冷却と同時に、1kg当たり約10gの減湿が必要である。
4.◯
B点の空気の露点温度は約19℃である。したがって、B点の空気が表面温度 16℃の窓ガラスに触れると、窓ガラスの表面で結露する。
5.×
A点の空気とB点の空気を同量混合すると、空気線図の中点(D点)の空気、「乾球温度 20℃、相対湿度約 62%」となる。
[ No.9 ]
図のような入射音がある壁の断面構成A~Cとその吸音特性ア~ウとの組合せとして、最も適当なものは、次のうちどれか。


答え
3
[ 解答解説 ]
A.ロックウール板等の多孔質材料と剛壁の間に空気層を設けた断面構成の吸音特性は、低音域より高音域の方が吸音しやすい。したがって、吸音特性は、イとなる。
B.せっこうボード等の板状材料と剛壁の間に空気層を設けた断面構成の吸音特性は、高音域より低音域の吸音に効果があり、ホールなどで低音域の残響調整用として使われることが多い。したがって、吸音特性は、ウとなる。
C.有孔ボード等の穿孔板材料と剛壁の間に空気層を設けた空気層を設けた断面構成の吸音特性は、共鳴周波数を中心とした山型の吸音特性を示す。穿孔板の板厚、開孔率や背後空気層の厚さにより、低音域吸音、中音域吸音、高音域吸音、広帯域吸音のいずれかの吸音構造となる。したがって、吸音特性は、アとなる。
以上より、3が正答となる。
[ No.10 ]
屋外気候に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.ヒートアイランド現象は、都市における大量の二酸化炭素の発生によって、都心の気温が郊外の気温よりも高くなる現象である。
2.快晴日における海岸地方の風は、日中は海から陸へ、夜間は陸から海へ吹く傾向がある。
3.大気外日射量は季節によって変動し、その年間平均値は約 1,370W/m2であり、太陽定数と呼ばれる。
4.快晴日における屋外の相対湿度は、一般に、1日のうちで、夜間は高く、日中は低くなる。
5.深さ 10~100mの地中温度は、一般に、その地域の年平均気温よりわずかに高く、年間を通じて安定している。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
ヒートアイランド現象は、都市の気温分布が、都心が郊外より高くなる現象である。コンクリート建築物やアスファルト舗装が太陽の放熱熱を夜間に徐々に放出したり、クーラーなどの人工熱の排出、樹木や土の地面の減少による水分蒸発による冷却効果の減少などが原因である。大量の二酸化炭素の発生による要因は少ない。
2.◯
快晴日における海岸地方の温度分布は、日中は比熱の低い陸地の方が海より早く温められるため、気温の低い海から気温の高い陸地に向かって風が吹く。この風を海風という。夜間は陸地の方が早く温度が下がり、陸地から海に向かって風が吹く。この風を陸風という。
3.◯
太陽定数は、地球が太陽からの平均距離にあるとき、大気上端の高度約 8kmで、太陽光に直角な単位面積が単位時間当たりに受ける太陽放射エネルギー量をいう。太陽定数は大気外日射量とも呼ばれ、季節によって変動するが、年間平均値は約1,370 W/m2である。
4.◯
相対湿度は、ある湿り空気に含まれる水蒸気量と、その空気の飽和水蒸気量との百分比で表す。一般に、快晴日の夜間は気温が低く飽和水蒸気量が少ないため、日中に比べて相対湿度は高くなる。
5.◯
深さ 10〜100mの地中温度は、一般に、地上の気温変化に関わりなく、年間を通じてほぼ一定で安定している。地中温度は年平均気温よりも1.5℃前後高い。