日本の建築様式の格付け 【真】【行】【草】
日本の建築様式の格付け
【 真 】・【 行 】・【 草 】
<シン> <ギョウ> <ソウ>
というのがあります。
これは、日本の古来の和室で用いられる格式(様式)の序列です。
◆真:
日本座敷で一番格式張った形式
様式の正確さと構造の割出しに細密を尽くしたもので、
正式に主客を招くために形式化されたもの。
例)
・京都二條城の黒書院
・西本願寺の対面の間
・三井寺の光浄院書院
など

(二条城 黒書院 京阪電車のHPより)
◆行:
堅苦しいさを少しはずして、やや砕けて軟らかな形式で、
主人の日常生活や、落ち着いて客の接待ができる程度の用途に用います。
格式よりも居住性を重んじた内容のもの。
◆草:
真や行に比べ、さらに砕けて、まったく自由自在に適宜な材を用いた様式
及びその構造としたもの
茶室でいう真は書院風の茶室をいい、草は千利休が広めた草庵茶室といえます。
草庵を完成させた利休は
「真を知り、行・草に至れば(作法や形態は)いかほど自由にくずそうと、
その本性(質)はたがわぬ」と弟子に説いたといいます。
ここで、注目すべきポイントは、
中国に於いては、真がもっとも正統なる格式として高い価値が与えられ、
行と草は真に次ぐとされるのに対し、
日本においては、
この三者は等価値、もしくは、草こそもっとも成熟したものという、
いわば価値観の逆転現象が起きてしまっているところです。
真の格をくずすことによって、
より精神性の高い「侘び」の極地に至ろうとする思想が支配的になったことです。
それを成した、千利休は
日本独自の建築思想を体系化した、日本の最初建築家だといわれています。
現代日本の住宅を考え直す上でも、重要な思考方法だと思います。
おさらいを込めて、その形式をまとめて見ましょう!
【 屋根 】
真:檜皮(ひわだ)葺き
行:杮(こけら)葺き・・杉、椹(さわら)等
草:葛屋(くずや)葺き・・茅(かや)、葦、藁等

【 天井 】
真:
・二重折上格天井
格天井の折り上げが2段階になっているのが特徴で、
通常の格天井よりさらに格式の高いタイプ。
格子状のマス目一つ一つに彩色絵を施したものは
ますますグレードがあがる。

二条城 二ノ丸御殿 大広間
※1867年大政奉還をした部屋
・折上格天井
回り縁から天井材がはじまり、天井を折り上げるようになっている
行:
・竿縁天井(杉柾目など)行~草
数寄屋でのスタンダードな天井。
柾目が通ってる一枚板を使ったものは高価
春日杉、霧島杉、吉野杉など部屋の雰囲気に応じて使い分ける
木目が特徴的になるほど、「草」に近づいていく
草:
・竿縁天井(杉中杢など)行~草
杉の木目を生かした天井。
木目がおとなしい吉野杉などは女性的な部屋や落ち着いた寝室などに用いられ、
木目に主張のある春日杉などは、木目を一つの景色に見立てることから、
草庵風茶室などに使われる。
・網代天井
杉皮、竹皮、檜皮などのへぎ板を編んだ天井
編み方は、矢羽根、籠目、石畳、市松などがあり、
材料と編み方によって印象が変わる。
主に、数寄屋建築で用いられる。

(網代天井)
【 壁 】
真:
・張付壁、床の間の壁が襖と同じ模様の張付け壁としているもの
壁紙は唐紙の老舗 < 唐長>製作のものなど
行~草:
・聚落壁
もとは聚楽第のあった場所(京都市上京区付近)で採れた土で
作られた土壁
黄みを帯びた砂色で、今では他の土でつくられた同じ色の壁も同様に呼ぶ。
京壁のもっとも代表的な色
・べんがら壁
べんがらとは鉱山石を精製して採れる酸化鉄を材料にした赤い顔料のこと。
その赤い色粉を混ぜた壁。
料亭や茶屋など、華やかな席に用いる。

・スサ壁
壁土は切り藁を混ぜることによって発酵し、粘りが増して塗り易くなる。
その藁を長いまま混ぜこんで表面に露出させたもの。
荒々しい雰囲気で、いかにも侘びた風情

例)待庵(千利休)
【畳のへり】

真:うんげん縁
普通の住宅では使われない。①
現在では、寺社などの有職畳に一部使われる程度
行:高麗縁
黒白が主流 ②③
草:紋縁、無地木綿縁
少し華やかな④⑤の紋縁か⑥~⑧の無地木綿が一般的
【 床柱 】
真 ・檜四方柾目
⇅
行 ・タガヤサン(唐木)
⇅
草 ・栗(なぐり加工)
・赤松皮付
・吉野杉
・北山杉
・桜
・椿
・コブシ
・アテサビ
など



草 ⇄ 行 ⇄ 真
NHKの大河ドラマを見るときの参考にでもなれば...
と思います(笑)
【 真 】・【 行 】・【 草 】
<シン> <ギョウ> <ソウ>
というのがあります。
これは、日本の古来の和室で用いられる格式(様式)の序列です。
◆真:
日本座敷で一番格式張った形式
様式の正確さと構造の割出しに細密を尽くしたもので、
正式に主客を招くために形式化されたもの。
例)
・京都二條城の黒書院
・西本願寺の対面の間
・三井寺の光浄院書院
など

(二条城 黒書院 京阪電車のHPより)
◆行:
堅苦しいさを少しはずして、やや砕けて軟らかな形式で、
主人の日常生活や、落ち着いて客の接待ができる程度の用途に用います。
格式よりも居住性を重んじた内容のもの。
◆草:
真や行に比べ、さらに砕けて、まったく自由自在に適宜な材を用いた様式
及びその構造としたもの
茶室でいう真は書院風の茶室をいい、草は千利休が広めた草庵茶室といえます。
草庵を完成させた利休は
「真を知り、行・草に至れば(作法や形態は)いかほど自由にくずそうと、
その本性(質)はたがわぬ」と弟子に説いたといいます。
ここで、注目すべきポイントは、
中国に於いては、真がもっとも正統なる格式として高い価値が与えられ、
行と草は真に次ぐとされるのに対し、
日本においては、
この三者は等価値、もしくは、草こそもっとも成熟したものという、
いわば価値観の逆転現象が起きてしまっているところです。
真の格をくずすことによって、
より精神性の高い「侘び」の極地に至ろうとする思想が支配的になったことです。
それを成した、千利休は
日本独自の建築思想を体系化した、日本の最初建築家だといわれています。
現代日本の住宅を考え直す上でも、重要な思考方法だと思います。
おさらいを込めて、その形式をまとめて見ましょう!
【 屋根 】
真:檜皮(ひわだ)葺き
行:杮(こけら)葺き・・杉、椹(さわら)等
草:葛屋(くずや)葺き・・茅(かや)、葦、藁等

【 天井 】
真:
・二重折上格天井
格天井の折り上げが2段階になっているのが特徴で、
通常の格天井よりさらに格式の高いタイプ。
格子状のマス目一つ一つに彩色絵を施したものは
ますますグレードがあがる。

二条城 二ノ丸御殿 大広間
※1867年大政奉還をした部屋
・折上格天井
回り縁から天井材がはじまり、天井を折り上げるようになっている
行:
・竿縁天井(杉柾目など)行~草
数寄屋でのスタンダードな天井。
柾目が通ってる一枚板を使ったものは高価
春日杉、霧島杉、吉野杉など部屋の雰囲気に応じて使い分ける
木目が特徴的になるほど、「草」に近づいていく
草:
・竿縁天井(杉中杢など)行~草
杉の木目を生かした天井。
木目がおとなしい吉野杉などは女性的な部屋や落ち着いた寝室などに用いられ、
木目に主張のある春日杉などは、木目を一つの景色に見立てることから、
草庵風茶室などに使われる。
・網代天井
杉皮、竹皮、檜皮などのへぎ板を編んだ天井
編み方は、矢羽根、籠目、石畳、市松などがあり、
材料と編み方によって印象が変わる。
主に、数寄屋建築で用いられる。

(網代天井)
【 壁 】
真:
・張付壁、床の間の壁が襖と同じ模様の張付け壁としているもの
壁紙は唐紙の老舗 < 唐長>製作のものなど
行~草:
・聚落壁
もとは聚楽第のあった場所(京都市上京区付近)で採れた土で
作られた土壁
黄みを帯びた砂色で、今では他の土でつくられた同じ色の壁も同様に呼ぶ。
京壁のもっとも代表的な色
・べんがら壁
べんがらとは鉱山石を精製して採れる酸化鉄を材料にした赤い顔料のこと。
その赤い色粉を混ぜた壁。
料亭や茶屋など、華やかな席に用いる。

・スサ壁
壁土は切り藁を混ぜることによって発酵し、粘りが増して塗り易くなる。
その藁を長いまま混ぜこんで表面に露出させたもの。
荒々しい雰囲気で、いかにも侘びた風情

例)待庵(千利休)
【畳のへり】

真:うんげん縁
普通の住宅では使われない。①
現在では、寺社などの有職畳に一部使われる程度
行:高麗縁
黒白が主流 ②③
草:紋縁、無地木綿縁
少し華やかな④⑤の紋縁か⑥~⑧の無地木綿が一般的
【 床柱 】
真 ・檜四方柾目
⇅
行 ・タガヤサン(唐木)
⇅
草 ・栗(なぐり加工)
・赤松皮付
・吉野杉
・北山杉
・桜
・椿
・コブシ
・アテサビ
など



草 ⇄ 行 ⇄ 真
NHKの大河ドラマを見るときの参考にでもなれば...
と思います(笑)
スポンサーサイト